アリモト,タケシ   ARIMOTO, Takeshi
  有元 健
   所属   国際基督教大学教養学部 アーツ・サイエンス学科
   職種   上級准教授
発表年月日 2019/06/02
発表テーマ 批判的スポーツ研究における情動論の効用
会議名 カルチュラル・タイフーン2019
主催者 カルチュラル・スタディーズ学会
学会区分 国際学会
発表形式 口頭(一般)
単独共同区分 単独
開催地名 東京
会場名 慶應大学
発表者・共同発表者 有元健
概要 ブライアン・マッスミらの議論に導かれた社会分析の情動論的転回によって、カルチュラル・スタディーズの問題系はこれまでの意味付与の政治学(politics of signifying practice)から、より身体的・前意識的な権力効果の分析へと移行しつつある(伊藤守『情動の権力』)。だが同時に、私たちの情動は、社会的・文化的な文脈をその外的環境として作動するものでもある。本発表では、人種やジェンダー、ナショナリズムなどが複雑に交差する文化現象としてカルチュラル・スタディーズの重要な研究対象となってきたスポーツを、情動という概念を導入しながら新たに読み替えていく。現代の社会において、スポーツは他の文化現象と比較にならないほどに、強度の情動を触発する文化装置だと考えられる。スポーツ実践者の快楽、スタジアムという空間におけるファンの声援やため息、怒声、そしてメディアを通じた視聴者への興奮の伝達。スポーツが生み出すこうした強度の情動は、ファンの一体感を生み出すと同時に身体的高揚を伴う人種差別やナショナリズムを導くこともある(ロブソン、バック、小笠原)。また他方において、スポーツは高い情動的価値を生み出す文化的コンテンツとしてますますグローバルにマーケット化されている。スポーツが生み出す情動は、私たちの人種的・民族的・国民的アイデンティフィケーションの身体的な土台となると同時に、グローバル資本主義の重要な舞台を形成しているのである。本発表ではこれまでのスポーツ研究に萌芽的に存在していた情動論的視点を紐解きながら、カルチュラル・スタディーズにおけるスポーツ論の情動論的転回の可能性を提示してみたい。